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2019.10.02

自動避航プログラム実船実験

2019年9月、当社は最適航行プログラム(注1)による自動運航技術の実証実験に成功しました。本実証実験は、国際海事機関(IMO)が定めた「自動運航船の実証試験を行うための暫定指針」(注2)に基づく各種項目をクリアし、国際ルールに基づく世界初の実証実験となります。

<実証実験の概要>

日本郵船(株)が運航する総トン数70,826トンの大型自動車専用船「IRIS LEADER」に最適航行プログラムを搭載し、新沙(中国)から名古屋港(9月14日~17日)、および名古屋港から横浜港(9月19日~20日)の試験区間(湾内を除く日本沿岸海域)において、通常の乗組員による当直体制を維持したまま、昼夜を問わず断続的に最適航行プログラムを用いて航行しました。

実験では、同プログラムがレーダ並びにAIS情報をもとに周囲の状況を把握、衝突リスクを計算して最適な避航針路を決定し、自動で操船するまでの一連の動作を実海域で実施し、その様子を監視・評価しました。
その結果、陸上のシミュレーターでの実験だけでは得られない多くのデータを取得し、同プログラムが安全性・効率性の高い運航に寄与でき、実用化の可能性が十分にあることを確認することができました。
今後は、実験で得られたデータを分析し、プログラムが導き出す精緻な判断と人間が導き出す柔軟性を持った判断のバランス調整など、さらに高度な操船支援技術へと改良を重ねることにより、遠隔・自律といった各種自動運航の基礎となりうる技術として、安全性の向上・労働力不足など、海運業界における社会的課題の解決に貢献できるよう、目指していきます。

 

 

記者会見の様子

 

グループ長:桑原 悟 

 

コンサルタント:岡田 尚樹

 

(注1)最適航行プログラム
当社が開発した避航操船プログラム。交通流シミュレーション用プログラムに操船経験が豊富な船長・航海士の経験値や感覚値を組み込み、周囲の状況をリアルタイムで判断し最適針路を選択、自動操船を行うことができる。

(注2)「自動運航船の実証試験を行うための暫定指針 」
2019年6月にIMOが定めたガイドライン。本実験はガイドラインに従い、船籍国であるパナマから承認を取得し、実験海域沿岸国の関係当局である国土交通省および海上保安庁に通知して実施。

 

関連リンク:
世界初、有人自律運航船に向けた自動運航の実証実験に成功(日本郵船)

 

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